HOME’Sさんのコラムもかれこれ半年以上も続いておりまして、今号が7回目の連載ということになります。
ぼくは2004年の4月から、不動産投資についてのブログを書いていましたが、最初は1日のアクセスが20件とかそんな程度でした。それでも地道に休まず書き続けて今に至る訳ですが、不動産投資でも何でも「継続すること」が大切だなと思った次第です。最近では、コラムが掲載されるとメールで感想を送ってくれるような人も増えました。
・ちゃんと読んでお返事をさせていただきます。
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さて、そういった感想の中に融資についての質問がありました。
とっても長いメールだったのですが、要約すると以下のような不安があるとのことです。
1.金利が高いスルガ銀行のような金融機関で借りたくない。金利の低い金融機関で融資を受けるにはどうしたらいいか。
2.また、借りやすいところで借りてしまうと、メガバンクなどから借りられなくなるというのは本当か。
ということで、同じような不安をお持ちの方は少なくないかなと思って、今回のコラムで採り上げさせていただきました。
■結論:金利を気にせずどんどん利用する。
実名を出すのが適切かどうか分からないのですが、スルガ銀行やオリックス銀行など、不動産投資においてサラリーマンに特化している金融機関の特徴としては、以下のようなものがあります。
・審査の対象になる属性基準がはっきりしている。
・融資の対象になりやすい物件の基準も、比較的はっきりしている。
・審査のスピードが早い。
・金利はメガバンクや一般の地方銀行に比べると若干高い。
この中でも「金利」について敏感なようで、「できれば高い金利を払いたくない」という気持ちからこういった金融機関の利用に躊躇されている投資家さんは多いようです。
確かに、1億円の融資を25年で元利均等返済した場合、金利4.5%と金利2.0%では、毎月の返済額が13万円以上も違います。
しかし現実として、スルガ銀行やオリックス銀行は順調に収益不動産向けの融資を伸ばしています。利用している人がたくさんいるということですね。
ぼくも結論からいうと、「サラリーマン投資家であれば、スルガやオリックスを積極的に利用するべき」だと思います。金利の差を補って余りあるメリットがあるからです。
理由1 審査のスピード
スルガ銀行は、ローンをフル活用したい「レバレッジ派」の投資家が好むRCマンションへの融資を積極的に行っています。
RCの中古一棟マンションは、スルガ銀行に限らず多くの金融機関で融資対象になりますが、特化戦略を採っているスルガ銀行に比べると融資審査のスピードがかなり遅いのが実情です。メガバンクだと1ヶ月くらいかかるものを、スルガ銀行では2分の1くらいの期間で審査が通ってしまうイメージです。
良い物件は大勢の人が購入のために活動していますから、自分が金利1%台のメガバンクで融資を通せる人であっても、審査中に他の投資家がスルガ銀行でさらっと融資を通してしまうので、物件を買うことができません。
理由2 業者さんとのタイアップ化
「スルガで融資が出る物件は、結局スルガを使う人が買ってしまう」という現象が一般化しているので、物件を販売・仲介している不動産会社も、できるだけスルガ銀行を使って欲しいと考えるようになります。購入者が支払う金利は、売主や仲介会社には関係ないですからね。
その状態がさらに進むと、業者側があらかじめ物件情報をスルガ銀行に持ち込み、評価を確認した上で販売・仲介するようになってきます。こうなると立派な提携であり、最終的には「提携金融機関を利用される方を優先します」というように、スルガ銀行を使わないと買えないという状態に発展します。
この状況下で金利にこだわってスルガ銀行利用を拒否していると、業者さんから相手にされなくなっていきますので、流れに乗るしかないのです。
3.スルガが使えない物件は、最初は危険。
「スルガ銀行の融資対象物件じゃないものを買えばいい」という考えももちろんありまして、ぼくも実際にそういう物件を買っています。
対象にならない物件というのは、例えばものすごく田舎にあったり、規模がとてつもなく大きかったり、事務所や店舗の比率が高かったり、または単純に銀行評価が低くて融資が受けられないというようなものです。
ただ、サラリーマンに特化した金融機関が「融資対象外」としているのはそれなりの理由があるからで、このような特殊物件は、経験が少なく資産的なバックボーンもないような投資家さんにはリスクが高いのです。
逆にいえば、審査が比較的ゆるいと言われている銀行で融資が受けられない物件は、相当リスクが高い・・と考えるべきだと思います。
■投資にはステージがある。
上述の通り、スルガ銀行やオリックス銀行を使うかどうかもスタンスのひとつであり、ぼくは「使える属性であれば積極的に使うべき」だというのがぼくなりの結論です。
このコラムは不動産投資の「スタンス」をテーマにしていますが、不動産投資では「投資のステージ」も忘れてはならない概念です。知識や経験、人脈や資金力などによって、実際に投資できる対象というのは変わってきますので、それに応じた投資をする必要があります。
ステージを無視してムリな不動産投資を試みても、「結局買えない」か「買ったあとで大変なことになる」という結論が待っているだけです。
これから大家さんになろうという方、一棟もの物件をまだお持ちでないような方は、まずは「普通の物件」を「普通の金融機関」から融資を受けて購入し、焦らず経験と実績を増やしていくようにしてください。
物件からのキャッシュフローが貯まっていき、確定申告などで事業の実績も証明できるようになってから、次のステージに進めばよいのです。「ステージ2」では、今まで手が出せなかった案件を狙えたり、地元の地方銀行のようなところから低い金利で資金を調達できたりすることでしょう。
プレイヤーはいろんなゲームを選ぶことができます(これがスタンス)が、どんなゲームであっても最初はステージ1からのスタートであるということですね。